interview インタビュー
【令和7年度 働きやすい職場づくり推進企業表彰 新潟経済同友会特別表彰を受賞】「健康経営」と積極的な制度運用で社員の健康と生活を守る会社
研冷工業株式会社は、新潟市中央区に本社を構え、空調・衛生・電気設備の設計・施工、メンテナンス、省エネ提案を行う企業です。「設備工事・電気工事を通じてお客様・地域社会の発展に貢献する」という使命のもと、社員の健康と生活を守る労働環境の整備に注力。令和7年度『新潟市働きやすい職場づくり推進賞』『新潟経済同友会特別表彰』に選出されました。
[お会いしたみなさん]
写真左から経営管理部課長の波田野義文(はたのよしふみ)さん、聖籠営業所長で経営管理部取締役部長の酒井明美(さかいあけみ)さん、経営管理部の渡辺大地(わたなべだいち)さん、代表取締役の酒井巳喜雄(さかいみきお)さん。
「健康経営」に取り組んだ背景や残業削減の施策、今後の展望について、酒井明美さんと波田野さん、渡辺さんに伺いました。
悲しい経験を経て「健康経営」を本格化
「健康経営」を本格化させた経緯を教えてください。
酒井明美さん: 健康診断はずっと継続して行ってきたのですが、以前は単に「受けていればいい」という感覚でした。ところが、平成28年頃に当社OBが闘病の末にがんで早世されるという悲しい出来事が2件続いたんです。うち1人は在職中からひどく咳込むこともあり、本当につらそうな姿を間近で見ていました。それらの出来事を経て社長が一念発起し、本格的に「健康経営」を推進するようになりました。
具体的な「健康経営」の施策を教えてください。
渡辺さん: まず「新潟市がん予防促進連携協定」の締結企業になり、厚生労働省の「がん対策推進企業アクション」の推進パートナー企業にもなりました。そして、肺がん・胃がん・大腸がん・子宮頸がん・乳がんという早期発見が重要な5大がんの検診受診を会社負担にして推奨。検診受診率を100%にすることができました。他に、一部のオプション検査も会社負担で受けられるようにしていて、こちらは労働衛生医学協会と相談しながら検診内容を選定しています。
酒井明美さん: 当初はオプション検査の項目を自由に選んでもらっていたのですが、セミナーなどで学んでいくうち「何でもいいわけじゃない」と気づきました。現在は、医学的エビデンスや費用対効果を重視して、会社で推奨する検査項目を選定しています。社員の声を受けて追加した検査や、年齢別で勧めている検査もありますね。
残業削減のための現場チームとサポート体制
建設業界の課題である長時間労働削減には、どう取り組まれましたか?
酒井明美さん: 「月平均所定外労働時間30時間以下という目標を全社で達成する」と、社長が宣言するところからスタートしています。そして以前は1つの現場を1人で担当していたところを、2〜3人のチームで担当するようにし、お互いに休みを取りやすい体制へと切り替えました。現場担当者を支援する「ビジネスサポート部」の立ち上げを行ったのも大きな変化です。「ビジネスサポート部」で書類作成や現場写真の撮影、環境整備のような作業的業務を担うことで、多忙な現場をサポートしています。作成書類の書式などが統一されていくと、もっとうまく運用できそうなので、その点は今後工夫していきたいですね。
施策の効果はいかがでしたか?
酒井明美さん: 全体としては平均残業時間が月30時間超から月16.8時間まで減少し、残業が集中しがちだった社員でも月70時間超から月42時間まで減りました。かつては夜遅くまで事務所の電気がついているのが当たり前でしたが、今では19〜20時前には真っ暗になる日が多くなりましたね。「時間内に終わらせよう」とか「ビジネスサポート部をうまく活用しよう」という意識が育ってきているように思います。
積極的な制度運用で家庭生活をサポート
「フレックスタイム制」や育児・介護支援も進んでいると伺いました。
酒井明美さん: 「フレックスタイム制」は、現場管理を行う社員ですと協力業者が帰るまで現場にいなければならない事情もあり、導入の難しさがあります。そこで当社では今のところ、自分で時間管理ができる業務で残業の多い管理職から試験的に導入しています。制度の意味を理解してもらいながら徐々に対象を広げていきたいです。
育児や介護に関する制度は、2か月に1回ある会議の場やKibelaというナレッジ共有ツールを使って共有してきました。制度利用のスタートは、対象者から声をかけてもらうケースと「この人どうだろう?」とこちらから声をかけていくケースがあります。また、最初の相談がひと段落した後も私から声をかけて「何かあったら言ってね」と、会社としてサポートする意思があることを伝えています。そうした日常会話的な声掛けをしておくと相談しやすくなるようですね。
育児休業については3か月の取得を推奨しています。きっかけは、社長が書籍で「子どもと3か月ふれあうと父性が芽生える」と学んだことでした。実際の取得は本人の希望を優先し、5名の男性が1〜3か月の育休を取得しています。現場で働く人は「自分がいないと現場が回らない」と考えがちな面もありますが……育休期間を残りのメンバーで対応した実績ができると、後に続く人が出てきました。他メンバーの成長にもつながっていると思います。
波田野さん: 私自身も育児や介護の機会があり、実際に制度を使ってみました。経営者から「使っていいよ」と発信があったのと、他の社員から相談があったときに体験に基づいた対応ができるのではと思ったためです。ちょうど最近、介護に関する相談を受けて、休暇や休業の組み合わせ方などのアドバイスをしましたね。育児については新たに登録した「ベビーシッター派遣事業」の詳細を調べ、必要なときに使える状態にしています。
人員増加に伴いフォロー体制の充実をはかる
採用活動などに変化はありましたか?
波田野さん: 各種制度・環境を整え、取り組みを発信してきた成果なのか、以前よりも求職者に注目してもらっているようです。ここ数年は、多くの方に応募いただき、毎年新しい仲間を迎えています。高校生については、若手を中心に空調取り付けや配管接続などを教える「出前授業」を継続し、毎年コンスタントに採用できていますね。今後は即戦力になってくれる経験者の採用にも力を入れていきたいです。
- YouTubeで発信している出前授業
最後に、今後の取り組みや展望を教えてください。
波田野さん: 令和8年春に従業員数が50人を超えたため、衛生管理者や産業医の選任を行い、衛生委員会の準備を進めているところです。また、ここ数年で本社以外の拠点が増えました。現場事務所を含め、離れた拠点が孤立することのないように、スムーズにやりとりするための環境整備にも取り組んでいます。すでにモニターやカメラの設置は終わり、オンラインで顔の見える朝礼などを行っています。今後も各種ツールを駆使して、一体感を高めるような環境をつくっていければと思います。
酒井明美さん: 健康面については、より実践的な健康づくりの支援を行っていく予定です。理学療法士や保健師の方の協力も得て、腰痛・肩こり予防の体操指導なども行いたいと考えています。また業界的に、喫煙者が比較的多いこともありますので、禁煙の大切さを伝える取り組みは根気強く続けていきたいですね。これからも従業員の健康と生活を支え「誰もが安心して長く働ける職場をつくる」ことを目指していきます。
企業情報
研冷工業株式会社
1973年設立。お客様の期待を超える価値提供と、地域社会の発展に貢献することを使命として設備工事業を展開。「社員が心身ともに健康で充実した生活を送ることが、高品質なサービスの提供に直結する」との考えから職場環境の整備や福利厚生の向上、「健康経営」に注力している。従業員数は54名(※令和8年7月時点)。
