interview インタビュー
【令和7年度 働きやすい職場づくり推進企業表彰 優秀賞を受賞】「ヒト」へのリスペクトを前提とする柔軟性ある職場環境づくり
フラー株式会社は「世界一、ヒトを惹きつける会社を創る」というユメ(ビジョン)を掲げ、アプリやデジタルに関する事業開発・デザイン・システム開発・データ分析を手がけるIT企業です。2020年から柏の葉(千葉県)と新潟の「二本社制」へ移行し、2025年に東証グロース市場に上場。フレックスタイム制や自由裁量によるリモートワークの導入、手厚い子育て支援や若手社員定着に向けた多様な施策に取り組み、「令和7年度新潟市働きやすい職場づくり推進賞優秀賞」に選出されました。
取り組みの背景やカルチャー浸透の工夫を、執行役員採用広報グループ長の下田純平(しもだじゅんぺい)さんと、執行役員CTOで新潟オフィス管理責任者の伊津惇(いづあつし)さんに伺いました。(写真左が下田さん、右が伊津さん)
存在意義も、成長のドライバーも「ヒト」にある
「働きやすい職場づくり」に取り組んできた背景を伺えますか。
下田さん: 背景にあるのは「ヒト」を大切にしたい想いと、企業としての合理性です。当社は、創業者・渋谷(現取締役会長)が「就職して仲間と離れるのが悲しい。友達と会社をつくれば、ずっと一緒にいられる」と考えたところからスタートしました。したがって、創業期から「友達が働きやすいようにしたい」という発想で、フレックスタイム制なども当たり前のように導入してきたんです。
また、当社のビジネスモデルでは、工場や機械などの大規模な設備投資は必要ありません。投資項目はほぼ「ヒト」ですから、「ヒト」をどれだけ惹きつけ、集められるかが事業成長に直結します。市場競争の観点からも、魅力的な働き方を整備し社員の生産性を高める環境に投資することは、とても合理的と言えます。
時間・場所の自由化と、コミュニケーションの進化
具体的な取り組みには、どのようなものがありますか。
伊津さん: フレックスタイム制に加え、自由裁量によるリモートワークを採用していて、頻度にかかわらず全社員に毎月リモートワーク手当を支給しています。オフィスへの出社率は2割前後ですが、新潟本社の場合、雪が降る日は本当に誰も来ません(笑)。出社して帰れなくなるのも困りますので、リモートワークが有効に使えているということだと思います。
手当は他に、オフィスから概ね5km圏内に住む場合は近距離手当を支給していて、入社時に対象エリアに引っ越す場合は引っ越し費用の補助も行っています。拠点が複数ある中でも、みんな自分自身の希望勤務地で働いています。
リモートワーク増加によって問題は起きませんでしたか?
伊津さん: 対面時と比べれば、お互いが見えなくなる部分は確実にありますので、意図的にコミュニケーション機会を増やしています。例えば、全社朝会の待機時間での雑談や、会議冒頭でのフリートークなど。趣味や子どもの話など、それぞれの好きなことを話してもらっています。
また当社ではチャットツールとして「Slack」を使っているのですが、業務報告用とは別に自由に発言できるチャンネルがあるんです。そこで「今日は暑いですね」「セ・パ交流戦で○○が勝ちました!」みたいなことも書けるため、テキストでの雑談も生まれていると思います。
さまざまなツールを使っていくうち、自作の絵文字(スタンプ)や、オンライン会議でのリアクション、アバターの使用など、新たな表現手法が見られるようになりました。リモートワークが増える中で、コミュニケーションの進化も感じています。
育休は「育児という重要任務につく」期間
子育ての両立支援についてはいかがですか?
伊津さん: 社員のライフステージの変化に合わせて、男女問わず対象者全員が育児休業を取得しています。役職者が率先して取っていることもあり、自然な形で取得が進んでいますね。送り出す側も、休業に入るというより「育児という重要任務につく」という捉え方をしていると思います。
新潟市の「男性の育児休業取得促進事業奨励金」も活用しています。支給要件にある「育児休業に関する体験記の共有」の部分は、全社会議で育休取得者に発表を実施。会社や国の制度紹介もセットで行っているので、みんなが育児休業のことを知るいい機会になっていると思います。
フレックスタイム制も仕事と家庭生活の両立に役立っていると思います。例えば、子どものお迎えや夕食の準備で中抜けし、再び業務に戻ることが可能です。さらに、制度化していない部分でも、家庭の事情に応じて柔軟に対応しているケースがありますね。
伝達率1.0の「盛らない採用」と手厚いオンボーディング
若年者の採用や入社後の定着で重視しているのはどのようなことですか?
下田さん: 盛らず(誇張せず)に誠実にやることを前提としています。当社が果たしたいのは増員であり、その前段階として定着が重要です。長期的に見ると「盛った施策」で集めてきた人は定着しませんから、採用広報では会社のありのままを伝える、伝達率1.0を目指しています。盛らなくても魅力が伝わる会社だと思っていますので、余すことなく伝えることも大切なポイントですね。
また採用活動全体としては「候補者体験の重視」も掲げています。選考は「候補者を篩にかけて選ぶこと」ではなく「候補者と十分な対話を行う機会」です。インターンや採用面接においては隠さず伝えることも徹底し、入社後のギャップを感じないようにしています。
アルビレックス新潟の試合観戦時の集合写真
伊津さん: 新卒社員向け研修ではビジネススキルだけでなく、当社が「誰の期待にどう応えてきたかを肌で感じてもらうこと」も重視しています。クライアント企業を訪問してお客様の生の声を聞く、スポンサーを務めるアルビレックス新潟の試合を観戦する。現地での体験を通じて当社への理解を深めてもらっています。
伊津さん: 中途入社の場合は、約2週間のオンボーディング期間と1か月のOJT期間を設けていて、密にコミュニケーションを取るメンター、トレーナーがつきます。そして新卒入社と中途入社、共通で行っているのが「ヒアリングマラソン」です。入社した本人が希望する先輩社員と1on1で、カジュアルな雰囲気で話してもらっています。この機会に仲良くなることが多い印象ですね。
ものづくりをする部活動での金継ぎの様子
またオンボーディング期間には、興味のある人が誰でも入れる、新メンバー専用のSlackチャンネルが作られます。「ラーメンが好きです」「趣味はものづくり」などの書き込みがされると、社内のラーメン好きや関連する部活動から新メンバーに声がかかります。部署を越えた交流が行われる場として活用されているようですね。
「ヒト」へのリスペクトを前提に、アップデートし続ける
最後に、今後の働き方に対する展望をお聞かせください。
伊津さん: 具体的な施策ではありませんが「変化し続けられる体制であること」が重要だと考えています。今の制度は現時点での最適解であって、「働き方の正解」は会社の規模や技術の普及などにより常に変化します。今後どのような時代が来ても、柔軟かつスピーディに変化できる組織でありたいと考えています。
下田さん: 当社のコーポレート部門はコンパクトなこともあり機動力が高く、やりたいと思ったことはすぐ形にします。社内からのリクエストやマーケットから要求など、必要なものに対応するアンテナを高く持ってスムーズに対応することは、大切にしていきたいですね。
そして、当社の働きやすさの根底にあるのは「ヒト」に対するリスペクトです。意識的にコミュニケーションを増やす取り組みをしていますが、一方で飲み会や部活動などに参加しない自由も尊重されます。「こうしなければならない」というルールで縛るのではなく、社員一人ひとりの選ぶ余地を残す。リスペクトの結果として生まれた寛容なカルチャーを、今後も維持していきたいと考えています。
企業情報
フラー株式会社
2011年設立。アプリやウェブに関わる支援を通じて「ヒトに寄り添うデジタル」をパートナーとともに創り、未来を育む全く新しい枠組みの事業、デジタルパートナー事業を展開。従業員数は211名(※令和7年11月時点、正社員以外を含む)。