interview インタビュー
【令和7年度 働きやすい職場づくり推進企業表彰 市長賞を受賞】2040年問題に備え人的資本経営を行う「社員を丸ごと守り、応援する会社」
北日本建材リース株式会社は、新潟市北区に本社を構え、重仮設材のリース・レンタルや仮設構造物の設計・提案・工事施工を通じて社会インフラを支える企業です。人的資本経営に基づき「社員を丸ごと守り、応援する会社」を目指して、社員の健康や家庭生活の不安解消、能力開発のための制度を構築。令和7年度『新潟市働きやすい職場づくり推進賞市長賞』に選出されました。
制度設計の背景、運用で重視した点や展望について、代表取締役社長の梅津康男(うめづやすお)さん他3名のみなさんに伺いました。
[お話を伺ったみなさん]
写真左から管理本部副本部長兼デジタル戦略事業部長の渡辺博(わたなべひろし)さん、代表取締役社長の梅津康男さん、管理本部管理部主任の小林彩女(こばやしあやめ)さん、執行役員で管理本部長の國兼三尋(くにかねみつひろ)さん。
会社と社員、双方が抱える問題への危機感
取り組みを進めた背景には、どのような想いがあったのでしょうか?
梅津社長: 令和7年4月に「子の看護等休暇」の拡大版、「ファミリーケア」、「シックリーブ」といった3つの有給休暇制度を整備しました。社員が休みやすくなるように、個別ではなく3点セットで同時にスタートさせたところがポイントですね。
國兼さん: 「子の看護等休暇」は法令上、資格を得られるのはお子さんが小学3年生修了までですが、当社では小学6年生修了までと、範囲を拡げています。また病気に限らず、入園式や運動会など学校行事全般で利用できるようにしました。
梅津社長: ただ当社には、小さいお子さんを持つ社員が少ない事情もあり、みんなが気兼ねなく堂々と休めるような環境作りが必要でした。そこで、兄弟や祖父母など二親等までの家族ケアに使える休暇制度「ファミリーケア」が生まれました。この2つで家族のケアに備えられるので、あとは働く本人を加えれば万全です。社員自身の病気療養に使える「シックリーブ」を加えて「社員を丸ごと守る」ことを目指しました。
3つの制度はいずれも自己申告制です。信用さえあれば、診断書のようなエビデンスは必要ないと考えました。結果、申請する人も処理する人も、手間をかけずに運用できています。こういうことができるのは、お互いの顔がわかる、中小企業の強みかもしれませんね。
「社員を応援する」施策としては資格学習支援に取り組んでいます。令和6年10月、もともと9種類だった資格手当の対象を、148種類まで大幅に拡充。さらに、合否に関わらず、スクール代や受験料などの学習費用を1人当たり年間50万円まで補助する制度も用意しました。
制度定着までの試行錯誤
制度設計や運用に関する苦労はありましたか?
梅津社長: ありました。有給休暇制度は当初、従業員規則に文章で書いていたのですが、それだけだと私自身がよく理解できなかったんです。制度間での重なりがあり、社員にとってもわかりにくいのでは、とも思いました。そこで、骨髄等の提供を希望する場合に取得できる有給休暇「ドナー休暇」も含め、視覚的にわかりやすいよう図式化してもらいました。
3つの有給休暇制度と「ドナー休暇」を説明する図
小林さん: お子さんが小学校までなら「子の看護等休暇」、中学校以上なら「ファミリーケア」を使えます。ただ、小学校と中学校、2人のお子さんがいる場合はどちらを先に使うべきか、といった部分が少し複雑なんです。Zoomで対面的に説明する機会を設けたり、各拠点に訪問したときに「こういう制度です」と一人ひとりにご案内したり。啓蒙活動も丁寧に行いました。そのかいあって、今では多くの社員が利用するようになっています。
渡辺さん: 資格学習支援制度についてもスタート時は大変でした。対象となる資格リストの創案を作成する際、今ならAIを使うところですが、当時はひたすらネットで調べるしかなかったんです。
國兼さん: 他にも「社員が興味を持つような資格」「業務で役立つ資格」など、納得感の得られる資格を選別すること、支給手当の金額設定にはずいぶん悩みました。
梅津社長: 概要が決まって私のところに相談に来てくれたとき「大賛成だけど、途中で止めるな」という話もしましたね。「会社の業績が悪くなったら手当支給をやめる、金額を半分にする、その程度のものなら最初からやめよう」と。そのとき、みんなで覚悟を決められたから、導入に踏み切ることにしました。現在は7割の人が何らかの資格手当を受け取っています。
社員の意識変化と、数字が証明する成果
制度を整えたことによる変化はありましたか?
小林さん: 社内の声としては、休暇制度への感謝が聞こえてきますね。特に、まだ有給休暇日数の少ない若手社員から「子の看護等休暇」や「ファミリーケア」のおかげで安心して育児と仕事を両立できるという話を聞きました。そして「シックリーブ」のおかげで体調不良のなか無理をして出社する人が減りましたし、ベテランの社員からは治療をしながら働けるので助かるという声も届いています。
資格手当については、社内イントラで成功体験談を発信し、さまざまな方が資格の勉強をしていることを知らせるようにしています。それを見て「私もやってみようかな」と勉強する人が増えているようですね。
女性社員の勉強会の様子
また、制度ではありませんが、年1回、各拠点にいる女性社員を新潟市に集めて、グループワークや勉強会、食事会を行ってきました。令和康保険組合と新潟市の方にもご協力いただいて「女性の健康課題」というセミナーも開催予定です。
國兼さん: 採用活動では、応募者数が圧倒的に増えました。令和8年5月末の段階で、中途採用だけでも43名の応募をいただいています。同時に、既存社員の離職率が下がっていることから、社内に「相談しやすい空気」ができてきていると感じています。
「働きやすさ」の先にある「エンゲージメント」への挑戦
最後に、展望を教えてください。
梅津社長:人的資本経営の必要条件である「働きやすい職場環境」はほぼ合格点に達したと考えています。しかし人的資本経営では、社員が自発的・自律的に貢献意欲を持つ「エンゲージメント」を高めることも重要です。まずは目指すべき姿を示そうと、人事評価制度の見直しを始めました。年功序列的なものから、役割と成果に基づくスタイルへの移行を目指しています。
企業情報
北日本建材リース株式会社
1973年設立。仮設鋼材のリース・修理・販売・加工、仮設構造物の設計・提案・工事施工、建設資材の販売を行う。従業員数は104名(令和8年7月時点)。
