interview インタビュー
【令和7年度 働きやすい職場づくり推進企業表彰 新潟商工会議所特別表彰を受賞】ライフステージの変化を丸ごと受けとめ支える「生涯人生幸福企業」
オフィスHanako株式会社は、新潟市中央区に本社を構え、建築事業と不動産事業を展開する企業です。「生涯人生幸福企業」という理念のもと、ライフステージの変化に関わらず安心して能力を発揮し続けられる環境づくりに着手。社員の実情に基づく取り組みを進め、令和7年度『新潟市働きやすい職場づくり推進賞』『新潟商工会議所特別表彰』に選出されました。
取り組みの背景にある想いや具体的施策、今後の展望について、代表取締役の渡辺さゆり(わたなべさゆり)さん他2名のみなさんに伺いました。
[お話を伺ったみなさん]
写真左から管理部チーフの瀬川葉子(せがわようこ)さん、代表取締役の渡辺さゆりさん、経営戦略室室長の岡野哲也(おかのてつや)さん。
職場づくりに活かされた「働く母」としての経験
どのような想いで取り組みを進めてきたのでしょうか?
渡辺社長: 私たちは「生涯人生幸福企業」という理念を掲げています。お客様はもちろん、働く社員、その家族、関わる業者さん。全員が幸せになれる会社を目指す中で、社員が不自由を感じることなく活躍できる環境をつくりたいと思いました。
また、私自身が働きながら子どもを育てた経験があり、「働く母」として家事や育児の負担を痛感してきました。幸いだったのは当時の職場が実家だったことです。お昼ご飯を母が用意してくれて、子どもを職場に連れて行くことができて、とても助かりました。その経験から、当社でも家事・育児を支える環境を用意できないかと、創業当初から考えてきたんです。
安心して働き続けるための、3つの施策
具体的な取り組みにはどのようなものがありますか?
渡辺社長: 柱となっているのが「手づくり給食の提供」「子連れ出勤の許可」「コミュニケーション費制度」の3つです。
瀬川さん: 「手づくり給食」を始めたきっかけは、社長の気づきでした。子育て中の社員が子どものお弁当はしっかりと作っているのに、自分自身の昼食はカップ麺で済ませていたんです。その後「ママは体が資本だから、栄養バランスの整った温かい食事を提供しよう」と考え、2017年に社員食堂をスタートしました。
盛り付けを行う給食当番の社員
現在は2つの拠点で、定休日である水曜日を除いた平日週4日、無料(社員負担なし)で「手づくり給食」を提供しています。当番制で配膳や片付けを行うことで交流の機会になっていますし、余ったおかずは持ち帰りが可能で社員に大変喜ばれています。
瀬川さん: 「子連れ出勤」は、夏休みのような長期休暇中や子どもの急な体調不良時などに利用されています。年齢制限はなく、1歳未満の赤ちゃんが来ることもあれば、小学生の頃よく来ていたお子さんが高校生になってから遊びに来てくれたこともあります。いつも温かい雰囲気で受け入れていて、誰かが嫌な顔をすることはありません。
「コミュニケーション費制度」は、社員同士の交流を目的とする食事会や小旅行などに、1人あたり年間15,000円までを自由に使える制度です。さまざまな年齢層の社員が増えてきたこともあり、部署や気の合うメンバー同士で気兼ねなく利用できるようにしました。
社員の自発性を重視する会社へ
制度設計や運用での試行錯誤はありましたか?
渡辺社長: 実は、大失敗したことがあるんです。社員数が少し増えてきた頃、社員旅行の際に「部署関係なくチームを作って、出し物をしてください」と指示したことがありました。「協力して何かを達成することでチームワークが生まれる」と信じていたからです。ところが「やりたくない」という嘆願書のようなものが来るなど、社員から反発を受けまして……社員の気持ちをもっと大事にしなければと反省しました。現在は「コミュニケーション費制度」を使った交流など、社員の自発性を大切にしています。
一方で、当社のような女性が多い職場では「自分だけが制度を使うのは申し訳ない」という心理が働きやすいものです。「私もやってみようかな」と、自然と思えるような仕組みをつくっていきたいと考えています。楽しみながら、会社を好きになってほしいんですよね。
瀬川さん: 試行錯誤と言うと、始めてみたものの利用されていない施策もあります。パパもママも自宅にいない、子ども一人のときに利用できる「ベビーシッター派遣事業」の割引券です。大人のいない自宅に他人が入ることに抵抗があるようで、まだ利用されたことがありません。そのような社員の感情も受け止めながら、実情に合う取り組み方を模索しています。
感謝しあう文化の醸成と採用活動の変化
仕組みを整えていく中で、変化はありましたか?
瀬川さん: 会社全体としては、子育て中の先輩社員が身近にいるおかげで「困ったときはお互い様」という文化が根付いていると感じます。私は中途入社で他社にいた経験があるため、当社の良さがよくわかります。「ありがたい」という感謝の気持ちしか出てこないですね。
社員感謝祭の様子
渡辺社長: 感謝と言えば、私と専務から感謝を伝えるイベント「社員感謝祭」を2019年から開催するようになりました。現在も年1回行っており、社員には家族やパートナー、友人を連れてきてもらっています。この会では私が出し物をすることにしていて、いつも「笑わせないと」というプレッシャーを感じています(笑)。
岡野さん: 他には「生涯人生幸福企業」という企業理念の浸透を進める中で、採用活動にも変化が出てきました。以前は「あの人いいね」という感覚的な採用でしたが、現在は理念に共感して自律的かつ、自発的に動ける人を採用する方針へと切り替えています。会社が進むべき方向を理解しつつ、自分のビジョンを重ね合わせて目標達成のために自ら行動できる、会社をリードする人材を採用していきたいと考えています。
DX推進による、さらに柔軟な働き方の創出
最後に、今後の展望を教えてください。
岡野さん: 将来的な生産年齢人口の減少に備えて、AI活用などDX推進を急ピッチで進めているところです。DX化は企業価値の向上にも寄与しますが、当社でとくに重視しているのは、社員の自発性と長所伸展を会社として応援していくことです。その実現に向けて、まずシステムを使った業務の仕組み化により工数を削減し、時間的余裕をつくる。生まれた空き時間で「目標に向けて何をすべきか」「こんな事業を立ち上げてはどうか」と構想する人が出てくることを期待しています。
全社員によるワークショップの様子
自発性という意味では、2025年に全社員で会社の将来を考えるワークショップも実施しています。「新社屋をつくるとしたら、どこに何を置きたいか」など、粘土を使って手を動かしながら、みんなでアイデアを出し合いました。
岡野さん: 他には「週休3日制」や「プチフレックス制度」の導入も検討しています。「働きたいのに働けない」ということがないように、ライフステージに合わせて柔軟に働ける仕組みを用意していきたいと考えています。
渡辺社長: 長い人生の中では、仕事を頑張りたい時期もあれば、子どもの時間を最優先したい時期もあります。人生のどんなフェーズにいても、仕事を辞めずに続けられる選択肢を用意し続けたいですね。これからも、社員一人ひとりが主役となって輝ける「生涯人生幸福企業」を追求していきます。
企業情報
オフィスHanako株式会社
2011年設立。住宅・店舗等の建築事業、不動産売買事業を展開。家づくり事業では、暮らし始めてからの満足度アップを大切に、女性ならではの視点にプラスαを盛り込んだ提案を行う。従業員数は44名(令和8年7月時点)で、全従業員の約75%を女性が占める。